リフトゾーンには何があるのか
  前述のように、リフトゾーンにはピットクレーターや噴火口割れ目が何十キロにも渡って連なっている。
  


キラウェアイキ

カルデラの最も近いところにあるピットクレーター・キラウェアイキ。
リフトゾーンの地下にできた空洞で、地面が陥没したところがピットクレーターであるが、しばしば付近で噴火した溶岩が流れ込んで、底を埋めることがある。このキラウェアイキも1959年にクレーターの縁で起こった噴火によって、クレーターの底に溶岩湖が造られた。

1959年11月14日キラウェアイキ西側の縁で割れ目噴火が始まった。割れ目噴火はすぐに1箇所になった。リティキュライト(スポンジ状の非常に軽い溶岩)やスコリア、スパター、火山灰などが東からの貿易風にあおられて、風下4kmにもわたって植生を破壊した。
噴出したスコリア溶岩は積もって比高120mのスコリア丘を形成した。後にプウ・プアイと呼ばれた。写真中央すこし左よりの緩やかな丘がプウ・プアイ。キラウェアイキは2つのピットクレーターから成り、プウ・プアイの少し右のくぼんだところにもう片方のピットクレーターが見える。その向こうにはカルデラが見える。


   

噴火は12月21日まで続いた(上の図左)。噴出した溶岩の高さは一時550mにも達し、キラウェアイキの底に120mの深さでたまった(上の図真ん中)。たまった溶岩は現在は上を歩くことができるくらい冷却している(上の図右)。冷却するときに体積が収縮したのと、噴火口に溶岩の一部が戻っていったため、クレーター底の周囲には数メートルの段差がついている。また無数の割れ目が走っている。

溶岩は40年以上たった今も完全に冷却しておらず、現在も割れ目から水蒸気をふきだしている。この溶岩湖はマグマだまりと同じ状態であると考えられ、天井が開いたマグマだまりとして、マグマ冷却の研究のためボーリング調査されている。時間とともにマグマを作る物質が結晶になり成長していったという。

1967年の調査では溶岩湖の表面は天井から27mまで硬く冷却していた。1975年には表面の硬い殻は55mに、1981年には60m以上に分厚くなっていったという。現在は年間3-4mの割合で冷却がすすんでいるそうだ。

キラウェアイキの底を歩くには
キラウェアイキの底を歩くにはカルデラの周りを走るCrater Rim Drive のThurston Lava Tube 前の駐車場に車を置いて、そこから急な道を降りる。キラウェアイキの底にはKilauea Iki Trail(キラウェアイキ遊歩道)がとおっている。


キラウェアイキの底の中ほどに数メートルの丘があり、蒸気を出している。1959年に噴出した溶岩はまだ熱をもっていて、今も割れ目からは蒸気が立ち上る。



ルア・マヌクレーター

これもピットクレーターであるが、1974年にここからわずか100mくらいのところで起こった割れ目噴火で噴出した溶岩がこのクレーターに流れ込んだ。

この付近では保存状況のよい溶岩樹型が多数見られる。


リフトゾーンにはなにがあるのか その2