浅間山 地球科学

浅間山の岩石

図1:パン皮状溶岩
噴火の際に火口から飛来したマグマの岩片
空中を飛んでいるときに表面が殻のように冷えて固まったが、中身はまだ溶融していて、しかも発生したガスによって膨張し、表面にできた薄からを破ってこのようなパン皮状の模様を作った。

その1:

 
火山で焼いたフランスパン???
 
パン皮状溶岩


 浅間山山頂の釜山付近には足元に図1のようなフランスパンが炭化して真っ黒になったような石を見ることができる。もちろんこれはフランスパンなどではなく、火口から噴出したマグマの岩片だ。

 この岩片は噴出する前は真っ赤に融けていたが、空中に放り出されたとき、表面が冷たい空気に触れてすばやく殻状に固まった。しかし内部は赤い溶融状態にあり、マグマに溶けていたガスが気泡となって現れ、赤く溶融していた岩片全体を内部から膨張させた。表面の殻状の部分がフランスパンのように破られ、この地に落下した。

注意:マグマというと岩石が熱せられて液体になったものと一般に思われがちである。しかし、正確に言えば、地下の圧力が高いところで、水やガス(二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄など)が高温で液体になった(溶融した)岩石の中に溶けているものをいう。この場合溶けているというのは、わかりやすくたとえると、コカコーラの中に二酸化炭素が溶けているようなもので、瓶の栓を開けると多量の二酸化炭素がコーラの中に現れるようなものだ。瓶に栓をしているときは、高い圧力でコーラの中に二酸化炭素が溶けていたが、栓を抜いて圧力が下がったとたんに、溶けていた二酸化炭素が溶けきれなくなってガスとして現れる。

※ガスとは一般にプロパンガス、都市ガスのように調理用の燃焼するガスを思い浮かべられるが、科学の世界では「気体」という意味に使われる。実際、英語のgas は気体という意味である。







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図2:パン皮状溶岩
溶岩が膨張によって裂けた様子がよく判る。この裂け方はアイスランドのギャオに非常によく似ている。大は小を兼ねるのだろうか。
ギャオについてはこちらを参照
 アイスランドのリフトゾーン

図3:湯平口の森林の小道にもパン皮状溶岩があった