2004年9月19日
2004年9月1日20時2分、
浅間山は
中規模の噴火をした。その後小噴火を繰り返していたが、9月19日は小康状態に落ち着いた。この日山頂にある釜山火口に登り、火口内の撮影を行うことに成功した。
火口南西側の
前掛山から
釜山火口丘に登り、火口の北西側の縁に到着した。
前回8月13日の調査のときとは打って変わって、到着寸前、火口からものすごいジェット音が聴こえていた。火口丘には(火口の外側)直径数十センチから3メートルくらいまでの大小いくつものクレーターができていた。クレーターの中には人の頭くらいの黄色いスポンジ状の軽石が入っていることが多かった。しかし、その黄色軽石の落下が原因でクレーターが作られたのかどうかは不明。クレーターの大きさは直径40cmくらいのものから3mくらいのものまであった。
火口北西側の縁では大型旅客機が離陸時に出すようなものすごいジェット音が聴こえていた。白い噴煙(水蒸気が主)によって火口の底を見ることは非常に困難であったがときどき風の具合によって噴煙がうすくなるときがあり、幸運にも火口内部の様子をビデオカメラとデジタルカメラに収めることに成功した。
前回8月13日の調査では垂直の火口壁が200mほどつづいて、そこから下はロート状に底に向かって尖っているようであった。所々に黄色い硫黄が周囲に付着した噴気孔があり、黒い部分が混じった白い火山ガスを噴出していた。(ただし、噴煙のためあまり正確な観察はできていない。)
それに対して今回の観測では、火口底の地形が大きく変化していることがわかった。火口壁の状態には変化がなかったものの、底の部分は同心円状の地形になっていて、最も底の部分には黒い色をした円形のマグマがほぼ水平にたまっているようすが見られた。肉眼観測によると、ところどころに直径5mほどのイボ状に盛り上がった赤い溶融部分があった。右に掲載した写真では下の写真で赤く囲った部分がマグマで、この中に赤いイボ状の溶融部がいくつか認められる。(写真は
噴煙で白くかすんでいるため、溶融部を見るためには拡大したほうがよい)
肉眼観測と他の火山の例から判断して、黒い部分は冷たい空気にさらされてマグマの表面が殻状に固結したもので、内部は依然溶融状態にあるようだ。内部の圧力によって、部分的に黒い殻が破られてマグマが湧き出している。
噴気の量には強弱がある。もともと大きなジェット音が聴こえていたが、観測途中で突然さらに音量を増して、ひやりとさせられることがあった。ジェット音は大型旅客機が離陸する際に発する音に音量、質ともに非常に似ていた。
浅間山登山規制について