亀岡市稗田野町桜天満宮の境内にある石には小さな桜の花が見られます。桜石と呼ばれている石です。しかし植物の桜とはどこか違います。植物の桜の花びらは5枚ですが、桜石の桜の花びらは6枚です。鉱物は奇数を嫌います。
これが桜石です。花びらの一枚は少々つぶれぎみですが、やはり6枚あります。桜の化石だなんて言う人がありますが、写真でみるとおり、明らかに桜の化石なんかではありません。
菅原道真が京都の宮中で陰謀にひっかかり、九州大宰府に流されました。道真は桜の花をこよなく愛していたのですが、大宰府で桜が咲かない季節がありました。ひかし、ここ亀岡の地では石の中に桜が咲いていたというそういう伝説がある桜石です。
私が中学生のころ、図書館で石の本を見て、亀岡の桜石を知り、自転車こいで桜石を探しに行きました。たしか1984年の秋のことです。桜天満宮の裏山にはたくさんのウルシが生えていて、そんなもん気にもとめず桜石を探していたものですから、帰ってきてウルシに顔中かぶれて、それはもう大変でした。苦い思い出です。
上の写真が桜石伝説で有名な桜天満宮です。ひっそりとたたずむ境内は、夏は蚊が多くて大変です。
桜石はどうやってできるのか?
さて、桜石はどんな石なのかといいますと、もともと菫青石という鉱物でした。菫青石は六角柱状の結晶で、泥質の岩石がマグマで熱せられて、できる鉱物です。桜石が取れる山の北側に行者山という山があります。そこは花こう岩の山なのです。もともとあった泥質岩に花こう岩マグマが貫入してきて、泥質岩を熱したのです。そのときに泥質岩に入っていたアルミニウムやリンを含むの物質が集まって結晶を作ったのが菫青石です。
もう少し詳しく見てみましょう。
上の図を見てみましょう。泥や砂が堆積してできた地層があります。
そこへ温度800℃もある熱いマグマが入り込みます。するとマグマの周りの泥や砂でできた堆積岩がまるで焼き物のように熱せられます。陶芸をしておられる方ならすぐにご理解いただけるかもしれませんが、粘土を焼くと硬くなり、それでお茶碗なんかができるわけです。泥岩や砂岩も同じで、高温で熱すると焼き物みたいに硬くなります。それと同時に菫青石や紅柱石といった、こういう状態でできる独特の鉱物ができます。このようにして堆積岩がマグマによって熱せられて、その中に新しい鉱物ができることを熱変成、あるいは接触変成と専門家は呼んでいます。
亀岡の桜石は今は菫青石ではなく、白雲母とか緑泥石という鉱物でできています。もともと菫青石という鉱物だったのですが、時がたつにしたがって白雲母とか緑泥石に変わりました。それに適度に風化して周りの岩石がわやらかくなって、桜の形にうまく割れてくれるのです。
泥質岩(泥岩とか頁岩)が熱せられて菫青石ができるというのがミソですよ。粒が大きな砂岩が熱せられても菫青石はできないのです。なぜって?それは砂岩にはアルミニウムが泥岩ほど含まれていないからです。泥っていうのは、湖や池、海の底に積もるとき、軽いものですから、ゆっくりと水の底に沈んでいくわけです。砂などの大きな粒のものはすぐに底に沈みますが、泥は細かくてなかなか沈まないわけです。アルミは軽いです。軽いアルミもやはりゆっくりとしか水の底に沈まないのです。それで泥岩の中にはアルミがいっぱいはいっているわけです。目からウロコですよね。
桜天満宮の裏山の向こう側は造成地になっています。湯の花温泉からぐるっと回って行くことができます。そこは造成地といってもほったらかしで、草ぼうぼうですから夏はコブラやニシキヘビに気をつけてください。(失礼!!)桜天満宮ではご迷惑がかかるので、桜石は採集しないように!!採集は裏側のこの写真の場所でしてください。黒っぽいところが泥質で桜石が入っているところです。
くれぐれも怪我をしないように、いってらっしゃ〜〜〜い!
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