リフトゾーンにはなにがあるのか その3
カポホ村に噴出した溶岩とプウ・ライマナ山
プウ・ライマナ (110m)
カポホ村はカルデラから50kmほど離れたリフトゾーンの上にあった。1960年1月、カポホ村付近で群発地震が発生し、1月13日、地割れができ、溶岩が噴出した。2.3日で溶岩は海に達して2平方キロメートルの新しい陸地ができた。
液体の溶岩が噴水のように噴出す溶岩噴泉は高さ500mにも達し、ここから数十キロ離れたヒロの町からもそれが見えたという。噴火は36日間に及び、その後何週間にもわたり高温のガスが出ていたという。現在はこのように採石場になっていて、赤く酸化したスコリア溶岩(ガスが入っていた穴がたくさんあいた溶岩)のスコリア丘の断面が見られる。溶結したわけでなく、ただスコリア溶岩がつもっているだけなので、非常に崩れやすく、この丘に登るときは足が細かなスコリアのなかに入りやすく、非常に難儀する。しかしここからの眺めは非常に良く、頂上に上って当時の噴火や溶岩流の様子を観察するには非常に良い場所である。
1960年溶岩流(プウ・ライマナ頂上から撮影)
上に写真はプウ・ライマナの頂上から北東方向にカメラを向けて撮影した写真である。手前の緑が少ないところは1960年の溶岩流である。溶岩が酸化して赤い色になっているところが見られる。中央付近では溶岩が冷却するときに割れた割れ目が見られる。溶岩はは撮影者が立っているところからこの写真の中央へ流れ、さらに右上に流れて海に達した。
プウ・ライマナから北の方向を撮影。赤く酸化したスコリア溶岩が見られる。
ここは採石場になっていて、当時の溶岩流はかなり破壊されてしまった。
クムカヒ岬。溶岩は海に流れ込み、2平方キロメートルもの新たな陸地を造った。
クムカヒ岬のかんらん石玄武岩。緑色で透明な粒がかんらん石。オリビンと呼ばれるが、この名はオリーブが語源となっている。クムカヒ岬では主にアア溶岩という表面がとげとげしい溶岩が広がっているが、パホイホイ溶岩という滑らかでシワのよった溶岩も見られる。この写真はもとはアア溶岩であったものが、海岸で波に削られてまるくなったものである。丸い穴はマグマに含まれていた揮発性ガス(水蒸気、二酸化炭素、塩化水素など)が入っていた穴である。マグマは地下深いところにいるときは、水蒸気や二酸化炭素などの揮発性ガスが溶けているが、圧力が低い地表に出てくると、気泡となり、固まったあとはそれが穴として残る。
さて、かんらん石はペリドットと言う名で宝石としても重宝され、指輪やネックレースなどに加工されているが、ここのは宝石には少々小さすぎるようである。
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