学校の理科・社会の授業に使える
今話題のレアメタル・タングステン誕生のひみつから
採掘までわかりやすく説明
人間社会に欠かせない影の力持ち・タングステン
こよなく美しい青い光を放つ灰重石鉱脈のイルミネーション



ドキュメンタリー映画  
喜和田鉱山 
未知の世界・青く光る灰重石と鉱山採掘のしくみ


光がまったく存在しない暗黒の坑内。ここはかつてタングステン鉱石を採掘してできた堀跡です。天井の岩盤にはタングステン鉱石の灰重石を含んだ白くて太い石英脈が残されています。鉱山長の長原さんが特殊なランプで紫外線を天井に向けて照射しました。すると岩盤の中の灰重石たちが、まるで生命を得たように、いっせいに青く光ります。桃色のセロファンの切れ端のようなりん灰石や怪しい赤紫の光を放つ方解石も加わって、灰重石の青い色をいっそうひきたてます。真っ暗な石英脈の大河には、青い島がいくつも浮かんでいます。これらの鉱物は、紫外線を受けると、美しい蛍光を出す面白い性質があるのです。
 ここは山口県岩国市の山奥にある喜和田鉱山の坑道の中です。電球のフィラメントや金属を削るのに使われる超硬切削工具の原料となるタングステンが採掘されていました。
 このドキュメンタリー映画では喜和田鉱山の美しく青く光る灰重石鉱脈をはじめ、さまざまな機械や設備を使ってどのように鉱石を採掘していたのか、またこのような鉱石は地球内部のどのような活動によって作られたのかを、わかりやすく説明し、知られざる鉱山の世界に迫ります。小学生高学年から大学生、そして一般まで幅広い年齢層でお楽しみいただけます。



ドキュメンタリー映画 
「喜和田鉱山  未知の世界・青く光る灰重石鉱体と鉱山採掘のしくみ」の主な内容
 真っ暗な坑道の奥から地響きのような音を立てて画面いっぱいに迫る鉱車の映像からこの映画は始まります。荷台にはタングステン鉱石が満載されています。暗黒の地下の世界から人間社会へ向かう鉱石たちです。

複雑に走る坑道に潜入・コンピュータグラフィックスによる三次元的な解説
 江戸時代の銅鉱山に端を発する喜和田鉱山の歴史と1991年の採掘停止に至る経緯などの大まかな説明の後、いよいよ鉱山の中へ入ります。コンピュータグラフィックスで、まるで網目のように走る坑道を立体的な映像で案内します。このコンピュータグラフィックスは正確な坑内図を元に再現しており、一見意味もなく掘られているように見える複雑な坑道が、実は鉱石を採掘して運び出すのに非常に効率よく掘られていることがよくわかります。その後、実際の映像が鉱山のどの部分なのかを示すために、このコンピュータグラフィックスは威力を発揮します。

世界一良質な鉱石をもつ巨大鉱体・第11鉱体
 暗黒の坑道を700m近く歩いた後、30mもの細いハシゴを上ったところにこの鉱体はあります。鉱体は鉱石が集中しているところです。もともと石灰岩だったところが地下の深いところから上がってきた熱水によって変化した、スカルンと呼ばれる鉱体です。長さ120mの楕円体の巨大鉱体。しかしそれは岩盤の中にできたタングステン鉱石が集中している特殊な部分であって、外から見ることができません。そこで、コンピュータグラフィックスを使って、この第11鉱体を外から見ているような映像を作りました。
初めての人にもよくわかって、しかも印象に残る説明
 解説はわかりやすく、しかも印象に残りやすいよう工夫を重ねました。例えば、鉱体の規模は幅50m、長さ120m、高さ40mですが、これだけではなかなか想像しづらいかもしれません。そこで、町を走っている路線バスをコンピュータグラフィックスに登場させました。路線バスの大きさと第11鉱体や坑道をならべることによって、大きさを実感できるよう工夫しました。


タングステン鉱石・灰重石はいかにして作られたか
 第11鉱体の空間に入り、天井の岩盤を見上げると、白い帯状の石英脈が走っています。その周りには無数の灰重石ができています。喜和田鉱山ではこの灰重石をタングステン鉱石として採掘していました。

 スカルンと呼ばれるこのタングステン鉱石の鉱体はどのようにして創られたのでしょうか。時代は3億年前にさかのぼります。海の底でつくられた石灰岩が、やがて日本列島に運ばれ、そして1億年前に熱水が貫入することによって、この鉱体作られました。その一連のようすをコンピュータグラフィックスと実際に岩盤で見られる鉱脈の映像などを交えて、目からウロコの解説をします。


青く光る灰重石・光のオーケストラ
 この灰重石がすごいのはタングステンを含んでいるからだけではありません。なんとこの石は紫外線をあてると光るのです。しかもこよなく美しい青。
 ある石愛好家の会の坑内見学会と一緒に取材に入ったときのことです。鉱山長の長原さんが参加者を集めました。すべての明かりが消えるのを待って、長原さんが紫外線を出すミネラライトを天井に向けました。すると、岩盤の中の灰重石が一斉に青く光りました。石英脈にそって大粒の灰重石が並びます。その両側には無数の青い光が広がります。よく見ると、石英脈の中には桃色のりん灰石や赤く怪しい色の方解石も光っていて、灰重石の青く美しい光に彩りを加えています。
 また紫外線を照射して撮影した場面と、全く同じ場所をストロボで撮影したものの比較もします。


タングステン鉱山採掘のしくみに迫る
 日本ではかつてたくさんの鉱山が稼動していましたが、そのほとんどが現在は稼動を停止し、廃坑になっています。廃坑になった鉱山は機械や設備は錆びて朽ち果て、草木に埋もれ、跡形もなくなってしまったのがほとんどです。そんな中、一部売却されたものもあるとはいえ、喜和田鉱山は稼動していた当時の機械や設備がそのまま残された貴重な鉱山です。その機械設備と鉱山長の長原さんから聞いた稼動当時のようすから、鉱山採掘のようすを再現しました。
 私たちの身の回りには実にたくさんの金属資源があり、それらは地下資源によって得られています。金属資源がどのようにして採掘され、私たちのもとにやってくるのか、その疑問に答えます。


石を採掘するために工夫された特殊な設備
 ローダーは、発破でバラバラに砕いた岩石を鉱車に積み込むための機械です。パワーショベルのようなもので、大きなショベルが石をすくいとり、後ろに連結した鉱車に積み込みます。7気圧もの圧縮空気で動き、人の10倍もの働きをします。
 スクレーパーは坑内に蓄えられていた鉱石をかき出すためのものです。スラッシャーという巻き上げ機がスクレーパーをつないだワイヤーをひっぱって、ひきづるようにして鉱石をかき出します。落差30mもの切上り(垂直の穴)にかき出した鉱石を落とす場面は豪快です。
 坑道にけたたましい音を出して多量の岩石を一気に吐き出す漏斗。採掘した石をいったん蓄え、鉱車に量を調節しながら積み込むための設備です。
 鉱車は石を運ぶための列車です。3トンものタングステン鉱石を積み、真っ暗な坑道を走り、外まで運搬します。グランビーカーと呼ばれるこの鉱車には、石を運搬するための特別な仕組みが使われています。石を降ろす場所にくると、車体横に取り付けられた転輪という補助輪が、特別なレールの上をあがり、車体が傾き、一気に石が降ろされます。3トンものタングステン鉱石が、あっというまにピットに下ろされます。


石の世界から人間の世界へ
 採掘されたタングステン鉱石は私たちの生活の身近なところで活躍しています。
 もっとも身近なところでは、タングステンは電球のフィラメントに使われています。フィラメントに電流を流すと、非常に高い温度になって光を放ちます。それ故に、熱に非常に強いタングステンが使われています。

 私たちは金属で作られたさまざまな製品に囲まれて生活していますが、タングステンはそれらの製品を加工するための超硬切削工具の材料をして利用されています。三菱マテリアル様からタングステンカーバイドでできた超硬切削工具が金属を削っている貴重な映像をお借りしました。映像では金属の棒がまるでチーズのようにするすると削られています。タングステンカーバイドの超硬切削工具は、清涼飲料水やビールの缶、自動車のエンジン、飛行機や新幹線の部品の製作など、ものづくりのさまざまな分野で大活躍しています。


学校の授業で使える
 映画の上映時間は46分。学校の授業で使うにはちょうどよい長さです。内容は小学生4年生くらいならわかるように、専門的で難しい内容をわかりやすく解説しています。小学校から大学まで幅広く授業で使えるDVDです。

 映画の内容で、理科と社会の両方で使える内容になっております。鉱石や鉱体のでき方や蛍光については理科の分野でしょう。人間社会に重要な役割を果たす資源を、岩盤に坑道を掘って採掘したり、鉱石から超硬切削工具を作り出して工業製品製作に役立てているのは社会科で使える内容です。資源の大切さを生徒さんに知っていただくのに最適の教材です。


「喜和田鉱山 未知の世界・青く光る灰重石鉱脈と鉱山採掘のしくみ」ドキュメンタリー映画