11月14日午後9時ごろ、浅間山で中規模の噴火活動があり、麓に噴石を雨のように降らせた。その直後に峰ノ茶屋に到着、取材した。
その日は浅間山の西側で噴石の調査をしていた。夕方8時くらいまで温泉に入り疲れを癒した後、小諸市内のコンビニエンスストアでコーヒーなんか飲みながら、翌日の天気を知るためにラジオを聴いていた。実は翌日雨ならすぐに小諸を出発して京都に帰るつもりでいた。
天気予報は雨と予報している。新聞の天気図を見ても、やはり雨が降りそうな気圧配置だ。もう一日浅間山に居たかったが、雨では仕方がない。帰ろうと思ったそのとき、ニュースは浅間山の地震の回数が増し、噴火しそうだと伝えていた。どうも噴火しそうだ。となれば、京都に帰るわけにはいかない。火口が見やすい峰ノ茶屋(東側の山ろく)に行って、そこで車を止めて噴火するのを待つことにした。
軽井沢から国道146号線に入り、浅間山に登る。峰ノ茶屋に到着したのは午後9時30分くらいのことだった。(実はこの30分前に噴火していた)峰ノ茶屋にある地道の広場には車が4・5台止まっていて、10人くらいの人が立ち話していた。しばらくすると消防署の車がやってきて、職員が彼らと何やら話をし始めた。すぐ隣にある東大火山観測所では灯りが明々と灯っていて、騒々しかった。もう噴火したのか???
広場でたむろしている人の一人に尋ねてみた。
「あの、何かあったんですか」
するとその男性はこう答えた。
「噴火したんだよ。噴石が雨みたいに降ってきたんだ」
その男性が乗っていた車は故障してしまったらしいが、外観はどこも悪くないように見えた。さっそく新聞記者がやってきて、その人に取材を申し込んでいた。(噴火から1時間も経っていないというのに、どうしてそんなに早いのか!!!)
峰ノ茶屋の広場では5mmくらいの小さな粒しか落ちていなかったが、そこから浅間白根火山ルート有料道路の方向へわずか100mほど行くと、3cmくらいの噴石が散乱し始め、さらに200mほど行ったところの料金所付近では、多量の噴石で道路はまるで砂利道のようになっていた。ヘルメットをかぶって車から降りて噴石を見てみた。マグマではないようだ。いくつか手にとってものさしで直径を計ってみたが、だいたい20〜30mmくらいのものが多かった。また、数ミリくらいの小さなのもたくさんあった。
しばらく料金所の手前で車をとめて、ヘッドランプの光で写真撮影をした。車がやってきて、人が降りてきて石を拾っている。
噴石は料金所を中心に500mくらいの範囲で散乱していた。しばらく砂利道のようになった道路を進むと、後はうそのようにキレイな舗装道路になる。
火山博物館付近まで見に行って、また峰ノ茶屋料金所まで戻ってくると、今度は大学生くらいの人たちが5・6人車から降りて噴石を拾い集めていた。この日はまるで真冬のように寒かったが、そんな中で噴石を拾うなんて、物好きな人たちだ。
11時くらいに近くの林の中で車を止めて寝た。噴火の音がすればすぐに起きだして写真撮影ができるように、カメラを三脚に固定していた。しかし結局それっきり噴火しなかった。
翌日7時に峰ノ茶屋料金所へ行くと、なんと驚いたことに、噴石がきれいになくなっていた。料金所の係員に尋ねると、昨夜のうちに清掃車が来て噴石を全部取り除いたという。「うちも商売ですから」と言っていた。大自然の力はすごいが、夜間道路掃除をする人もまたすごい。
この時間になっても、まだ有料道路や国道で車を止めて噴石を拾う人を何人か見かけた。なにもこんなに早く掃除しなくても、しばらく(10日くらい)噴石をそのままほうっておいて、観光客に噴石で砂利道と化した道路を見せてもよかったのでは、、、、、、あるいは、噴石を袋に詰めて噴火の記念として観光客に販売しては、、、、、などと考えをめぐらせながら、わずかに残された噴石の写真撮影とビデオ撮影をした。
噴石で砂利道と化した道路
と
石を拾う人々
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浅間白根火山ルートの峰ノ茶屋料金所から100mほど南。2004年11月14日22時13分。
路面に散乱した噴石。上部の赤い帯は車のテールランプ。
翌朝、道路の噴石はすっかりきれいに掃除されていたが、路肩では多少残っていた。
2004年11月15日8時38分撮影。
近くの林に落下していた噴石。7時34分。